要員計画とは?人員計画・採用計画との違いから策定ステップ・テンプレートまで解説

要員計画で経営戦略と人事をつなぐイメージ(ラインイラスト)

「中期経営計画の実行に向けて要員計画を作ってほしい」と経営層から指示されたものの、何から手をつければよいのか分からない。人事企画の担当者からは、こうした声がよく聞かれます。

「要員計画と人員計画は何が違うのか」「採用計画との関係はどう整理すればいいのか」。用語の意味を確認するところから作業が止まってしまうケースも少なくありません。計画をゼロから作る場合、現状把握から項目設計、各部門との合意形成まで、思った以上に工程が多いことに戸惑う担当者も多いはずです。

要員計画は、単に「何人採用するか」を決める作業ではありません。中長期の事業計画を人材面から支える仕組みであり、新規事業やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のように不確実性の高いテーマが絡むと、通常の計画以上に難易度が上がります。そこで本記事では、要員計画の定義から人員計画・採用計画との違い、策定ステップ、テンプレートに入れるべき項目、運用時の注意点までを順に解説します。

沖岡 豊大

沖岡 豊大

我々は誰もが挑戦の歩みを止めず、
失敗を糧に再チャレンジできる寛容な社会の実現を
目指して活動しています。

創業背景としては、エンジニア起業家の養成スクールで得た気づきがきっかけでした。自身のWhy meをプロダクトに落とし込み、投資家に対してピッチを行うのですが、卒業後も挑戦を”続けられる”人間がごく僅かだということを実感しました。志のある優秀な方でも、リスクを背負い、様々なハードシングスを乗り越えながら進み続けることは、実際には非常に困難です。そこで、起業家に同志として寄り添い、何度でも挑戦し続けられる環境を構築したいと思うようになり創業に至りました。
最終的にわたしもいち起業家として、TechHouse.Worksのサポートを得ながら、新たな事業を創るのが私の夢です。

要員計画とは

要員計画と人員計画・採用計画の違いを整理するイメージ

要員計画とは、中長期の事業計画に基づき、各部署・職種で必要となる人材の数と質をあらかじめ計画することを指します。単年度の欠員補充とは異なり、将来の事業展開を見据えて「いつ・どの部署に・どのような人材が何人必要か」を設計する点が特徴です。

要員計画の定義と目的

要員計画の目的は、企業の目標達成を人材面から支えることにあります。事業計画だけを立てても、実行する人材が確保できなければ計画は絵に描いた餅になってしまいます。そのため要員計画は、経営戦略と人事の両方をつなぐ役割を担います。

なお、海外の人事・人的資本の実務では「ワークフォースプランニング」と近い考え方で説明されることがあります。ただし対象範囲や定義は資料によって異なるため、厳密に同一の概念とは言い切れません。事業目標から逆算して必要な人材像を計画するという発想自体には、共通する部分があります。

人員計画・採用計画との違い

要員計画・人員計画・採用計画は、しばしば同じ意味で使われます。これらの用語に法令上・公的に統一された定義があるわけではなく、企業や文献によって使い分けが異なるのが実情です。本記事では、必要な人材の数・質を見積もる計画を「要員計画」、配置・育成まで含めて実行に落とし込む計画を「人員計画」、それを実現する手段の一つを「採用計画」として整理します。本記事での整理を示すと次のようになります。

用語 主な対象範囲 位置づけ(本記事での整理)
要員計画 必要な人材の数・質の算出 事業計画と人事をつなぐ上位計画
人員計画 配置・育成・異動まで含む運用全体 要員計画を実行に落とし込む計画
採用計画 採用活動(母集団形成・選考等) 人員計画を実現する手段の一つ

社内で議論がかみ合わない場合、この三つの言葉を無意識に混用していることが原因であるケースも多く、用語の整理自体が合意形成の第一歩になります。

「要員」という言葉のニュアンス

「要員」という単語は、ビジネス文書では「欠員要員」「要員を割く」のように、やや硬い事務的な響きを持つ表現として使われます。人を指す際に「要員」を使うと、相手によっては無機質な印象を与えることがあるため、社外向けの文章や個人への説明では「担当者」「メンバー」といった言葉に言い換えると丁寧な印象になります。一方、計画・制度の名称としての「要員計画」は定着した用語であり、そのまま使って問題ありません。

要員計画が重要性を増している背景

要員計画の重要性が増している背景を示すイメージ

要員計画への関心が高まっている背景には、人材を取り巻く環境変化があります。人手不足や事業環境の変化を背景に、計画的に人材を確保・配置する必要性が意識されやすくなっています。

人手不足の深刻化

厚生労働省の労働経済動向調査(令和8年8月調査、調査対象は常用労働者30人以上の民営事業所)によると、正社員等労働者について「不足」と回答した事業所の割合は、調査産業計で50%、建設業で59%でした(出典:厚生労働省「労働経済動向調査」2026年8月調査)。これは労働者数の不足率ではなく、各事業所の回答を集計した割合です。

なお、同調査には「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた労働者過不足判断D.I.(判断指数)も掲載されており、両者は異なる指標であるため混同しないよう注意が必要です。

欠員が発生してから慌てて採用活動を始めるのではなく、事前に人員ギャップを把握しておく要員計画の重要性は、こうしたデータからも読み取れます。

経営戦略と人事の連動ニーズ

中期経営計画と人材戦略を連動させる必要性は高まっており、「計画はあるが、実行する人材がいない」というギャップが経営課題として浮かび上がりやすくなっています。

これまで人事部門は採用・配置・育成といった個別の運用を担うことが多く、経営戦略の策定プロセスに早い段階から関わる機会は限られていました。要員計画は、事業計画の初期段階から人事が関与するきっかけにもなり、結果として経営戦略そのものの実現可能性を高める役割も担っています。

新規事業・DX推進が要員計画に求める新しい視点

新規事業やDX推進のテーマが絡む場合、要員計画の難易度は一段上がります。既存事業の延長であれば過去の実績から必要人数を推定しやすい一方、新規事業は前例がないため、必要なスキル・人数ともに不確実性を抱えたまま計画せざるを得ません。デジタル化によって顧客接点のデータが整備され、そこから新規事業の種が見つかる、という順序で動く企業では、通常の要員計画のフォーマットだけでは対応しきれない場面も出てきます。

なお、経済産業省とIPA(情報処理推進機構)が公開している「DX推進指標」は、要員数を自動的に算出するものではありませんが、自社のDXの取り組み状況や組織としての成熟度を自己診断し、現状と目標とのギャップを把握するためのツールとして活用できます。DX関連の要員計画を検討する際、まず自社の現状を把握する手がかりとして参照する価値があります。

要員計画の策定アプローチ:トップダウンとボトムアップ

トップダウンとボトムアップのすり合わせを示すイメージ

要員計画の立て方には、大きくトップダウン方式とボトムアップ方式の二つがあります。どちらが優れているというものではなく、事業のフェーズや目的に応じて選ぶ、あるいは組み合わせることが実務上は多くなります。

トップダウン方式

トップダウン方式は、経営目標や事業計画から逆算して必要な人員数を設定するアプローチです。中期経営計画の売上目標や生産性指標をもとに、全社・部門ごとの目標人数を先に決め、そこから各部署へ割り振っていきます。経営の意図を反映しやすい一方、現場の実情と数字がかみ合わないリスクもあります。

ボトムアップ方式

ボトムアップ方式は、各部署・現場へのヒアリングを通じて必要人数を積み上げるアプローチです。業務量や繁閑差など現場の実態を反映しやすい一方、各部署の希望をそのまま合算すると、全社の予算や経営目標と整合しない人数になりやすい点に注意が必要です。

2方式の比較と選び方

実務では、トップダウンで示した目標人数とボトムアップで積み上げた必要人数を比較し、ギャップを調整しながら最終的な要員計画を確定する進め方が一般的です。

方式 強み 注意点
トップダウン方式 経営目標との整合性が高い 現場の実態と数字がずれやすい
ボトムアップ方式 現場の業務量を反映しやすい 全社予算と合計が合わないことがある

新規事業のように前例データが乏しいテーマでは、トップダウンで大枠の投資規模を決め、ボトムアップで実行チームの人数感を検証する、という往復作業が特に有効です。

片方の方式だけで押し切ろうとすると、トップダウン単独では現場が数字を受け入れられず、ボトムアップ単独では予算の歯止めが効かなくなるという、それぞれの弱点がそのまま表面化してしまいます。両方の視点を往復させながら合意点を探っていく進め方が、結果的には最も手間のかからないやり方になることが多いです。

要員計画を策定するメリット

要員計画を策定するメリットを示すイメージ

要員計画を策定することで得られるメリットは、人事部門だけでなく経営層にとっても実務上の意味があります。

人材不足・過剰の早期把握

将来の人員ギャップを事前に可視化できるため、欠員が発生してから場当たり的に採用活動を始める事態を避けやすくなります。部署ごとの人員の偏りも、早い段階で調整できるようになります。

たとえば、ある部署では業務量が増えているにもかかわらず人員が追いついておらず、別の部署では逆に手が余っている、といった偏りは、要員計画を可視化しない限り経営層の目に入りにくいものです。全社の要員計画を一覧できる形にしておくことで、部署間の異動や配置転換による調整という選択肢も早い段階で検討できるようになります。

経営戦略とのギャップの可視化

中期経営計画の目標達成に必要な体制を逆算することで、経営層は人材面のリスクを事前に把握できます。事業計画が変更された際にも、要員計画を見直すことで整合性を保ちやすくなります。「この事業計画を実行するには、今の体制で本当に足りるのか」という問いに数字で答えられる状態をつくることが、要員計画が経営戦略と人事をつなぐ役割を果たすという点の実務的な意味です。

人件費・コストの最適化

過剰採用による人件費の膨張を防げるだけでなく、不足による外注費・残業代の増加も抑えやすくなります。中長期の人件費シミュレーションの土台としても活用できます。

人件費は多くの企業で固定費の中でも大きな比重を占めるため、要員計画をもとにした数年先までの人件費の見通しは、経営層が投資判断を行ううえでの重要な材料にもなります。新規事業への投資を検討する際も、必要な人件費を事前に見積もっておくことで、他の投資案件との比較や優先順位づけがしやすくなるという効果も期待できます。

要員計画の策定ステップ

要員計画の策定ステップを順に進めるイメージ

要員計画は、おおむね以下の流れで策定します。各ステップにかかる期間は、部署数やデータ整備の状況、経営層との合意形成の回数によって幅があります。データが整っている小規模な組織であれば数週間程度で進む場合もありますが、部署数が多く合意形成に時間がかかる組織では、数か月以上を要することもあります。

  1. 現状の人員・スキルを部署・職種別に洗い出す(現状把握・1〜2週間程度)
  2. 事業計画から必要人数を算出する(算出・1〜2週間程度)
  3. 採用・配置・育成のどれで不足を補うか判断し、計画へ落とし込む(展開・2〜4週間程度)
  4. 各部門・経営層と合意形成を行い、計画を確定する(合意形成・1〜2週間程度)

現状把握とニーズのヒアリング

最初のステップは、部署・職種別の現在の人員数とスキルの可視化です。離職予定者や近い将来の退職リスクも合わせて確認しておくと、後工程の算出精度が上がります。各事業部門へのヒアリングを通じて、数字だけでは見えない業務量の実感も集めておきます。

必要人数の算出

必要人数の算出は、事業計画の売上目標や業務量を、稼働率や繁閑差、職種ごとに必要なスキルも含めて逆算する方法が基本です。たとえば「現在の生産性で売上目標を達成するには何人必要か」を、現状の一人当たり売上高や処理件数を手がかりにシミュレーションする方法があります。ただし一人当たり売上高はあくまで財務指標であり、それだけで職種別の必要人数や必要スキルを正確に表せるわけではない点には注意が必要です。

既存事業であればこの計算はある程度の精度で成立しますが、新規事業の場合は参照できる実績がないため、類似業種の指標を仮説形成の参考値として仮置きしたうえで、顧客数や案件数など複数の前提を置いた強気・標準・慎重のシナリオを用意し、進行しながら前提を更新していく姿勢が欠かせません。

採用・配置・育成計画への展開

不足分をすべて新規採用で補うと決めてしまうと、採用コストと採用までの時間がかさみます。既存人材の配置転換や育成によって対応できる部分がないか、採用と並行して検討することが重要です。育成には一定の時間がかかるため、着手は早いほど選択肢が広がります。

計画の合意形成と確定

算出した人員数は、最終的に各事業部門の責任者と経営層の合意を得て確定させます。この段階で現場の納得感を得ておかないと、計画が形だけのものになり、後の運用でつまずく原因になります。

失敗しやすいパターンとリスク

要員計画でよくある失敗パターンとリスクを示すイメージ

要員計画は、作成して終わりにしてしまうと機能しません。よくある失敗パターンを事前に知っておくことで、同じ轍を避けやすくなります。

よくある失敗パターン

現状把握が不十分なまま数字だけを埋めてしまうケース、経営層と現場の認識がずれたまま計画を進めてしまうケース、一度作成した計画を見直さずに放置してしまうケースの三つは、特に頻度の高い失敗パターンです。いずれも、計画を「作ること」自体が目的化してしまっている点に共通点があります。

たとえば現場へのヒアリングを省略して経営層の目標数値だけで要員計画を組んでしまうと、現場からは「実態と合わない数字」として反発を受け、計画そのものが運用されずに終わってしまうことがあります。

新規事業特有の見落とし

新規事業の要員計画では、前提となる事業計画自体が変わりやすいという特性があります。既存事業の要員計画であれば半期・四半期ごとの見直しで足りる場合もありますが、新規事業では事業計画の変更に合わせて要員計画もそのつど見直す運用があらかじめ組み込まれていないと、計画と実態がすぐに食い違ってしまいます。

もう一つ見落とされやすいのが、新規事業の立ち上げ期に必要なスキルセットが、既存事業の人事評価軸では測りにくいという点です。既存の評価制度をそのまま当てはめようとすると、新規事業に適した人材を見極めにくくなるケースもあるため、評価の枠組みごと見直す必要性が生じることもあります。

さらに、新規事業では、検証結果に応じて撤退や方向転換を判断する場面が生じやすいため、増員した人材の配置先をあらかじめ複数想定しておかないと、事業の縮小時に人員の受け皿がなく宙に浮いてしまうリスクもあります。

コスト・リソース感

要員計画のコスト・リソース感を検討するイメージ

要員計画の策定にどの程度のコストと人手がかかるのかは、着手前に把握しておきたいポイントです。

社内工数の目安

人事企画担当者が主導する場合、現状把握からヒアリング、算出、合意形成までの工数は、対象部署の数やデータの整備状況、経営層との合意形成の回数によって大きく変わります。あくまで実務上の一例としては、担当者1〜2名が数週間から2か月程度を要するケースが見られますが、これを標準値として当てはめず、自社の規模や進め方に応じて見積もることが重要です。

経営層・各部門責任者の確認工数は別途必要になります。初めて要員計画を策定する企業では、フォーマットの設計やヒアリング項目の整理に時間がかかりやすいため、2回目以降の運用に比べて工数が多くなる傾向があります。

ツール・システム導入のコスト感

既存のExcelやスプレッドシートのライセンスを使う場合、追加のソフトウェア費用は抑えられますが、フォーマットの設計・更新作業の人件費、アクセス権限の管理、データの正確性を保つための運用コストは別途発生します。

部署数が多く更新頻度が高い企業では、人事データを一元管理するHRテクノロジーの導入が検討対象になります。導入コストは機能範囲によって幅が大きいため、まずは現状のExcel運用の課題を整理したうえで、必要な機能を見極めることが遠回りを避けるコツです。

初期段階ではExcelなど既存ツールで要員計画を回してみて、更新の手間や部署間の連携に限界を感じた段階でツール導入を検討する進め方も選択肢の一つです。一方、部署数が多く個人情報の管理要件が厳しい企業や、既存の人事システムとの連携が前提になる企業では、最初からシステム導入を検討したほうが合理的な場合もあります。

自社の運用に合わない機能まで費用をかけて導入してしまうリスクを避けるためにも、要員計画の更新頻度や部署数、既存システムとの連携可否を基準に比較検討することが重要です。

推進体制・人材要件

要員計画の推進体制と外部連携を示すイメージ

要員計画は人事部門だけで完結する作業ではなく、適切な体制を組んで進める必要があります。

誰が主導すべきか

実務上は人事企画部門が事務局として推進し、各事業部門の責任者と経営層が意思決定に加わる体制が基本形です。新規事業が絡む場合は、事業の立ち上げを担う部門責任者を早い段階から巻き込んでおくことで、現場感のある人員計画になりやすくなります。

人事企画だけで要員計画を抱え込むと、現場の実情を反映しきれないまま数字が先行してしまうことがあるため、事務局はあくまで取りまとめ役と位置づけ、判断の根拠となる情報は現場からこまめに吸い上げる体制を整えておくことが望ましいといえます。

外部リソース活用という選択肢

社内の人材だけで新規事業の立ち上げ要員を確保しようとすると、育成に時間がかかる、あるいは必要なスキルを持つ人材がそもそも社内にいない、という壁にぶつかることがあります。こうした場合、出向・業務委託・副業・兼業など、社外の人材や経験を取り込む手段を組み合わせることが選択肢になります。

これらは契約形態によって条件が異なり、在籍型出向のように出向先とも雇用契約を結ぶ形態もあれば、業務委託のように雇用契約を前提としない形態もあるため、指揮命令関係や労働時間管理、秘密保持の扱いを契約形態ごとに確認しておく必要があります。

一方で、こうした実務人材の不足を補う施策とは別に、既存人材自身の視点やスキルを広げる変革人材の育成策として、越境を検討する考え方もあります。TechHouse.Worksが提供する「Beyond Borders」は、外部人材を採用・派遣するサービスではなく、個人や組織が社外のプロジェクト・他組織との交流に参画し、そこで得た経験を組織へ還元する「越境」の仕組みを支援するプログラムです。

要員計画を社内だけで完結させるべきか、あるいは人材育成の観点から外部との接点をどう設計するか迷う場合は、お問い合わせから専門家に相談してみるのも一つの方法です。

業種・規模別の論点

業種・規模別の要員計画の論点を示すイメージ

要員計画で注意すべき点は、業種や企業規模によっても異なります。

建設・不動産・ハウスメーカー業界特有の論点

前述の厚生労働省の調査でも、建設業は正社員等労働者の不足感が特に強い業種の一つとして挙げられています。現場監督や施工管理といった専門職種は育成期間が長く、採用市場での競合も激しいため、建設業や住宅の施工部門では、工事の進行に応じた人員調整を含めた複線的な人員確保策を早期から検討しておく必要性が高くなります。

不動産業は仲介・賃貸・管理など工事現場を持たない業務も幅広く含むため、同じ要員計画の枠組みをそのまま当てはめるのではなく、施工を伴う業務かどうかで論点を分けて検討する必要があります。

新規事業部門・新設組織の要員計画

新規事業部門を新設する場合、既存の人事制度における等級や評価基準がそのまま当てはまらないことがあります。既存事業の要員計画と同じフォーマットで無理に当てはめるのではなく、新設部門独自の体制として、必要なスキルセットと人数を別枠で検討したほうが、後の運用がスムーズになるケースが多く見られます。

企業規模が大きいほど既存の人事制度との整合性を求められる場面も多くなるため、新設組織の要員計画については、どこまで既存制度に合わせ、どこから独自の運用を認めるかを、着手の早い段階で経営層と合意しておくことが後の混乱を防ぐポイントになります。

中堅企業の新規事業部門が比較的小規模で始まる場合、全社共通のフォーマットを無理に適用すると実態に合わない項目ばかりが並んでしまうことがあります。組織の規模に応じて、項目数を絞った簡易版のフォーマットを別途用意しておくのも実務上有効な工夫です。

要員計画表の作り方とチェックリスト

要員計画表とチェックリストを確認するイメージ

要員計画を実務で運用するには、計画を一覧できる表の形に整理しておくことが欠かせません。

要員計画表に入れるべき項目

要員計画表は、算出した人数を文章だけで管理すると更新時に見落としが生じやすくなります。部署・職種を単位とした一覧表の形にまとめ、誰が見ても現状と目標のギャップが一目で分かる状態にしておくことが実務上のポイントです。少なくとも次の項目は含めておくと、後の運用時に振り返りやすくなります。

  • 部署・職種(対象の単位)
  • 現在の人員数とスキル・経験の概要
  • 事業計画から算出した必要人数
  • 不足・過剰の人数(ギャップ)
  • 補充方法(採用・配置転換・育成のいずれか)
  • 補充時期の目安

実際に記入する際は、次のような表形式に落とし込むと運用しやすくなります。

部署・職種 現在の人員数 必要人数(算出) ギャップ 補充方法 補充時期の目安
(例)新規事業部・営業 2名 5名 ▲3名 採用+配置転換 20XX年X月まで

スキル・経験の概要まで一つの表に収めると列が多くなりすぎる場合は、別シートや備考欄に分けて管理しても構いません。

策定前・運用時のチェックリスト

要員計画に着手する前、また運用を始めた後に、以下の点を確認しておくと形骸化を防ぎやすくなります。

  • 現状の人員・スキルの洗い出しが、憶測ではなく実際のヒアリングに基づいているか
  • 必要人数の算出根拠を、経営層・現場の双方に説明できる状態か
  • 採用だけに依存せず、配置転換・育成・外部人材活用など複数の補充手段を検討したか
  • 見直しの頻度(四半期・半期など)とタイミングをあらかじめ決めているか
  • 事業計画が変更された際に、要員計画も連動して更新する運用になっているか

一度にすべての項目を完璧に満たそうとすると、着手自体が遅れてしまいます。まずは現状把握と算出根拠の二点だけでも固めたうえで運用を始め、残りの項目は運用しながら整えていくという進め方でも十分に機能します。

よくある質問(FAQ)

Q1. 要員計画とは、簡単に言うと何ですか

中長期の事業計画に基づき、各部署・職種で必要となる人材の数と質をあらかじめ計画することです。事業目標の達成を人材面から支える役割を持ちます。

Q2. 要員計画と人員計画はどう違いますか

本記事では、要員計画を必要な人材の数・質を算出する上位計画、人員計画をそれを配置・育成まで含めて実行に落とし込む、より広い概念として整理しています。採用計画は人員計画を実現する手段の一つという位置づけになります。なお、これらの用語に法令上・公的な統一定義があるわけではなく、企業によって使い分けが異なる場合があります。

Q3. 必要な人員数はどうやって算出しますか

基本的には、事業計画の売上目標や業務量を、稼働率や繁閑差、必要スキルなども踏まえて逆算します。既存事業であれば過去の実績データを使えますが、新規事業では類似業種の指標を参考値として仮置きし、進行しながら前提を更新していく必要があります。

Q4. 新規事業の要員計画は、通常の要員計画と何が違いますか

既存事業は過去の実績から必要人数を推定できますが、新規事業は前例がないため、必要なスキル・人数ともに不確実性を抱えたまま計画せざるを得ません。事業計画自体が変わりやすいため、見直しの頻度を高めに設定しておく必要もあります。

Q5. 要員計画表には何を入れればいいですか

部署・職種、現在の人員数とスキル、必要人数、不足・過剰の人数、補充方法、補充時期の目安を入れておくと、運用時に振り返りやすくなります。

Q6. 要員計画はどのくらいの頻度で見直すべきですか

見直しの頻度に統一された基準はなく、事業の変動や予算サイクルに応じて四半期・半期などを自社で設定するのが実務上の進め方です。新規事業部門では事業計画自体が変わりやすいため、計画変更が生じたタイミングで都度見直す運用があらかじめ組み込まれていると、計画と実態のずれを抑えやすくなります。

Q7. 社内に必要なスキルを持つ人材がいない場合、どうすればいいですか

育成には時間がかかるため、短期的には配置転換や、出向・業務委託など外部人材の活用も選択肢になります。契約形態によって指揮命令関係や労働時間の扱いが異なるため、個別に確認が必要です。また、人材の確保そのものとは別に、既存人材が社外のプロジェクトや他組織との交流を通じて新しい視点を得て組織に還元する「越境」の仕組みを、変革を担う人材の育成策として人材戦略に組み込む考え方もあります。

まとめ

要員計画は、中長期の事業計画を人材面から支えるための計画であり、人員計画・採用計画とは、本記事で整理した範囲においては位置づけが異なります。トップダウンとボトムアップを組み合わせながら必要人数を算出し、採用・配置・育成の複数手段で補いながら、継続的に見直していく運用が欠かせません。

特に新規事業の要員計画は、前例のないテーマを扱う分、通常の要員計画以上に不確実性との向き合い方が問われます。TechHouse.Worksは、審査を経て最大500万円の出資を受けられる可能性がある「Boot UP!」をはじめとした伴走支援プログラムを備えたスタートアップスタジオとして、新規事業の立ち上げに必要な体制づくりを支援しています。

シード期の事業づくりを支える「Boot UP!」に加え、連携先企業が提供する、アーリー期からEXITまでを支援する「Listing ON」についても案内しています。また、人材の確保そのものとは別に、既存人材の視点やスキルを広げる変革人材の育成策として、個人・組織の越境を設計する「Beyond Borders」というプログラムもご用意しています。

自社の新規事業を、誰とどのような体制で進めるかを検討されている方は、お気軽にご相談ください。

なお、挑戦者への伴走支援という視点から組織づくりをどう考えているか、より深い発信はnoteでも行っています。