職務分掌とは?業務分掌・職務権限規程との違いから分掌規程・分掌表の作り方までわかりやすく解説
組織設計・人材戦略
2026.11.1
「誰がどの業務を担当し、どこまで決めてよいのか分からない」「トラブルが起きても担当者がはっきりしない」。組織が大きくなるほど、こうした課題が生じることがあります。
担当業務が曖昧なままだと、イレギュラー対応のたびに押し付け合いが起きたり、特定の担当者に権限が集中して不正やミスのリスクが見えにくくなったりします。組織拡大や部門間連携の増加に伴い、この課題が顕在化することがあります。
この課題を解消する手段として使われるのが「職務分掌」です。部門・役職ごとに担当業務と責任・権限の範囲を分け、分掌規程・分掌表などの形で明文化することで、組織運営の土台を整えます。
そこで本記事では、職務分掌の基本的な意味から、混同しやすい「業務分掌」「職務権限規程」との違い、導入のメリット・デメリット、分掌規程・分掌表の作り方までを、初めて取り組む人事・総務担当者の目線で解説します。自社で使える分掌規程のひな型と分掌表のサンプルも示しますので、規程作成の出発点として活用してください。

沖岡 豊大
我々は誰もが挑戦の歩みを止めず、
失敗を糧に再チャレンジできる寛容な社会の実現を
目指して活動しています。
創業背景としては、エンジニア起業家の養成スクールで得た気づきがきっかけでした。自身のWhy meをプロダクトに落とし込み、投資家に対してピッチを行うのですが、卒業後も挑戦を”続けられる”人間がごく僅かだということを実感しました。志のある優秀な方でも、リスクを背負い、様々なハードシングスを乗り越えながら進み続けることは、実際には非常に困難です。そこで、起業家に同志として寄り添い、何度でも挑戦し続けられる環境を構築したいと思うようになり創業に至りました。
最終的にわたしもいち起業家として、TechHouse.Worksのサポートを得ながら、新たな事業を創るのが私の夢です。
職務分掌とは

職務分掌(しょくむぶんしょう)には法令上の統一された定義があるわけではありません。一般的には、部門や役職ごとに担当する業務の範囲と、それに伴う責任・権限を明確に分けて定めることを指します。誰が何を担当し、どこまでの判断を任されているのかを組織全体で共有できる状態にする取り組みと言えます。
この考え方を文書として明文化する際、「職務分掌規程」という名称の規程を設け、部門と業務の対応関係を一覧化した「職務分掌表」をセットで整備する企業が多く見られます。ただし名称や構成は企業ごとに異なり、組織規程の別表として分掌表を位置づける企業や、規程と表を分けずに運用する企業もあります。
職務分掌が注目される背景
職務分掌が話題になる場面は大きく二つあります。一つは、組織が拡大して業務が属人化し、誰が何をしているか見えにくくなったタイミングです。もう一つは、内部統制や上場審査・監査対応に備え、権限・職責・業務プロセスを整理する必要が生じるタイミングです。
いずれの場合も、担当業務と権限をあらためて定義し直す作業が必要になります。職務分掌は、この整理作業の受け皿となる考え方です。すでに組織図や業務マニュアルがある企業でも、権限と責任まで含めて整理し直すと、見落としていた重複や抜け漏れが見つかることがあります。
職務分掌と業務分掌・職務権限規程との違い

職務分掌を調べていると、「業務分掌」「職務権限(規程)」という似た言葉に出会います。いずれも業務や権限の範囲を定める点は共通していますが、焦点を当てる対象が異なります。これらの用語には業界統一の厳密な使い分けがあるわけではなく、企業や規程体系によって使い方が異なるため、整理に手間取る担当者も少なくありません。
本記事では、職務分掌を役職・担当者ごとの役割・責任・権限の範囲までを含む概念として扱います。一方で業務分掌は、部門・担当者が受け持つ業務内容そのものの明確化に焦点を当てた言葉として整理します。
実務上は両者が厳密に区別されず、同じ意味で使われる場面も少なくありません。職務権限規程は、さらに範囲を絞り「何をどこまで決裁できるか」という意思決定の権限に焦点を当てた規程です。
用語の使い分けは企業の規程体系によって異なるため、自社の既存規程を確認しながら読み進めてください。
つまり、分掌規程は「誰が何を担当するか」を定め、職務権限規程は「その担当業務の中で、どこまでを自分の判断で決めてよいか」を定めるという関係になります。両者は別々の規程として整備される企業もあれば、1つの規程の中で項目を分けて定める企業もあります。
| 項目 | 職務分掌(規程) | 業務分掌 | 職務権限規程 |
| 焦点 | 役職・担当者の役割・責任・権限の範囲 | 部門・担当者の業務内容そのもの | 意思決定の権限(決裁ライン) |
| 主な問い | 誰が何を担当し、どこまで責任を持つか | どの部門・担当者がどの業務を受け持つか | 誰がどこまでの金額・内容を決裁できるか |
| 文書化の形 | 職務分掌規程・職務分掌表 | 業務分掌表(職務分掌表と同様の形式が多い) | 職務権限規程・決裁権限表 |
| 使われ方 | 広く組織運営の基盤として | 職務分掌とほぼ同義で使われることも多い | 経理・契約・人事などの決裁プロセスで |
※上表は本記事における整理であり、各社の規程上の名称・定義はこれと異なる場合があります。
役割定義・職務設計・組織設計との違い
職務分掌と近い場面で登場する言葉に「役割定義」「職務設計」「組織設計」があります。役割定義は個々のポジションに期待される役割・成果を明確にすること、職務設計は職務内容や業務範囲そのものを設計すること、組織設計は部門構成や指揮命令系統そのものを組み立てることを指します。
いずれも職務分掌と関連しますが、本記事では担当業務と権限・責任の範囲を分掌規程・分掌表に明文化するところまでを扱い、職務記述書の作り方やRACIによる役割整理など、その先の具体的な手法には立ち入りません。
職務分掌のメリット

職務分掌を整備すると、組織運営にいくつかの効果が期待できます。中堅企業の担当者が特に意識しておきたい3点を紹介します。
不正防止と内部統制の強化
担当業務と権限の範囲が明確になると、特定の担当者に権限が集中する状態を避けやすくなります。承認と実行を別の担当者に分けるなど、業務プロセスの中に相互チェックの仕組みを組み込みやすくなるためです。
ただし、職務分掌の整備だけで不正やミスを防げるわけではありません。アクセス権の管理やモニタリングと組み合わせることで、リスク低減の効果が期待できます。
問題が起きた際には、社内の担当範囲や報告経路を確認しやすくなりますが、分掌表の整備だけで法的な責任の所在が確定するわけではない点にも注意が必要です。
業務効率化と責任の明確化
担当範囲がはっきりすることで、業務の抜け漏れや重複を把握・削減しやすくなり、誰が何を進めているかも把握しやすくなります。問い合わせや依頼が発生した際も、担当者を探す時間が短縮されます。部門間の連携が必要な業務でも、どの部門が主管でどの部門が協力する立場かが明確であれば、調整がスムーズになります。
人材育成・人事評価への活用
職務分掌によって各ポジションに期待される役割が明確になると、必要なスキルや目標設定の土台として活用できます。評価制度を運用する際も、担当業務に対する成果を基準にしやすくなり、人事評価の基準を検討する材料になります。新任者への業務引き継ぎや研修設計の場面でも、分掌表は実務上の参照資料として役立ちます。
職務分掌のデメリット・注意点

職務分掌にはメリットだけでなく、運用を誤ると組織の動きを鈍くするリスクもあります。導入前に把握しておくべき注意点を整理します。
細分化しすぎることで生じる弊害
業務範囲を細かく定めすぎると、部門間の連携が滞りやすくなります。担当範囲の外にある業務が発生した際に「誰の仕事か」が決まらず、対応が後回しになったり、部門間で押し付け合いが起きたりすることがあります。特にイレギュラーな対応が多い業種では、分掌の線引きが細かすぎると現場が機能しにくくなります。
柔軟性の低下とモチベーションへの影響
担当業務が固定化されると、担当外の業務に関わりにくくなり、組織全体としての柔軟性が下がる場合があります。過度に厳格な縛りは、従業員が「決められたことしかしなくてよい」と受け取り、モチベーションの低下につながることもあります。こうした弊害は、分掌表を定期的に見直し、現場の実態とのズレを修正する運用によって緩和できます。
内部統制における職務分掌の位置づけ

職務分掌は、内部統制やガバナンス強化の文脈でもよく取り上げられます。担当者間で権限を分散させ、相互にチェックが働く体制を作る考え方は、内部統制の基本的な要素の一つとされています。
日本では、金融庁・企業会計審議会が公表する「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに実施基準」が2023年4月に改訂され、改訂後の基準・実施基準は2024年4月1日以後に開始する事業年度の内部統制監査から適用されています。
同基準は、権限及び職責の付与、職務の分掌などの方針・手続を「統制活動」の一つに位置づけ、業務上のリスクに応じて、承認・実行・記録などの機能を適切に分担または分離することが重要とされています。
職務分掌は担当業務・責任・権限を全体として整理する考え方であり、承認・実行・記録・照合などの機能を具体的にどこまで分離するかは、業務ごとのリスクに応じて別途設計する必要があります。上場準備や内部統制報告制度への対応を進める企業では、この観点から職務分掌の整備が実務上の論点になります。
ただし、「職務分掌規程」という名称の文書を一律に作成する法令上の義務はありません。制度ごとの扱いは次のとおりです。
- 上場会社など(金融商品取引法):内部統制報告制度の対象となるのは上場会社など(有価証券報告書の提出会社のうち上場株券等の発行会社など)で、財務報告に係る内部統制の評価・報告が求められます。新規上場後3年間は内部統制報告書に係る監査証明が免除される特例もあります(一定規模以上の企業は対象外)。
- 上場準備企業:将来の上場審査や監査対応を見据えて早期から権限体系を整備する例が多く見られますが、準備段階そのものに同制度が直接適用されるとは限りません。
- 会社法上の大会社(非上場の中堅企業を含む):資本金5億円以上または負債200億円以上の会社は、会社の機関設計に応じて、内部統制システムの整備に関する事項を決定する義務があります(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く取締役会設置会社は会社法362条5項、取締役会非設置会社は348条4項が基準となり、これらの委員会型を採用する会社には別途の規定が適用されます)。
- その他:業法・契約・取引先や金融機関からの要請によって、内部管理体制の整備が必要になる場合もあります。
職務分掌規程そのものの作成義務とは別に、自社に適用される法令・契約上の要請を確認しておくことをおすすめします。自社にとって職務分掌がどの程度必要かは、最新の制度動向を踏まえつつ、税理士や内部統制の専門家に確認しながら判断してください。
分掌規程・分掌表の作り方

職務分掌規程と分掌表を作る作業は、大きく3つの段階に分けられます。いずれの段階も、現場の実態を無視して進めると形骸化しやすいため、順番を踏んで丁寧に進めることが重要です。
業務内容の棚卸しと組織図の整理
最初に行うのは、現状の業務内容を洗い出すことです。既存の組織図をもとに部門構成を整理し、各部門・各担当者が実際にどのような業務を行っているかを棚卸しします。この段階では、規程やマニュアルに書かれている「あるべき姿」だけでなく、現場へのヒアリングを通じて実際の業務実態を反映させることが欠かせません。実態とかけ離れた分掌を定めてしまうと、後の運用でズレが大きくなります。
部門・担当者ごとの権限・責任の配分
棚卸しした業務内容を、部門・担当者ごとに割り振ります。この際、単に「誰が担当するか」だけでなく、「その業務についてどこまでの権限を持ち、どこまで責任を負うか」までセットで決めることが重要です。複数の部門が関わる業務については、主管部門と協力部門を分けて整理すると、後の分掌表に反映しやすくなります。重複や漏れがないか、組織全体を見渡して確認する工程です。
規程・分掌表への明文化と社内周知
整理した内容を職務分掌規程・職務分掌表として文書化します。文書化の段階では、できるだけ具体的な業務名を用いて、読み手が解釈に迷わない表現にすることが望ましいです。
完成した規程・分掌表は、関係部署での確認・承認を経たうえで、従業員全体に周知します。周知を怠ると、規程と現場の運用がすれ違ったまま放置されるため、説明会や社内資料の配布などで趣旨を共有する工程までを作成プロセスに含めておくとよいでしょう。
分掌規程のひな型(条文例)

職務分掌規程をゼロから作成するのは負担が大きいため、まずは一般的な条文構成を把握しておくと取り組みやすくなります。以下は、目的・適用範囲・定義・各部門の分掌事項・改廃に関する条文例です。
あくまで一般的な記載例であり、法的助言やそのまま使える完成規程を意図したものではありません。自社の組織体系・規程体系、決裁規程、就業規則等との整合性を確認しながら、項目や表現を調整してから使用してください。特定企業の実在の規程をそのまま転用することは避けてください。
職務分掌規程(例)
(目的)
第1条 本規程は、当社における各部門の職務分掌を明確にし、業務の適正かつ効率的な遂行、責任体制の確立及び内部統制の強化を図ることを目的とする。
(適用範囲)
第2条 本規程は、当社の全部門及び全従業員に適用する。
(定義)
第3条 本規程において「職務分掌」とは、部門及び役職ごとに担当する業務の範囲並びにその権限及び責任を定めることをいう。
(各部門の分掌事項)
第4条 各部門の分掌事項は、別表「職務分掌表」に定めるところによる。
(権限及び責任)
第5条 各部門の長は、別表に定める分掌事項について、関係規程に基づき必要な範囲で業務を遂行する。具体的な決裁権限、承認者及び報告義務は、職務権限規程その他の関連規程の定めるところによる。
(規程の改廃)
第6条 本規程の改廃は、関係部署の協議を経て、代表取締役の承認をもって行う。ただし、改廃の承認権限者は、取締役会規程・職務権限規程など自社の機関設計・規程体系と整合させて定めるものとする。
附則
本規程は、〇年〇月〇日より施行する。
条文の数や表現は、企業の規模・業種によって調整が必要です。たとえば決裁権限の細かな基準まで定める場合は、職務権限規程として別建てにするケースもあります。自社の実情に合わせて、専門家の確認を得ながら仕上げることをおすすめします。
分掌表のサンプル

分掌規程の条文だけでは、実際に誰がどの業務を担当するのかが伝わりにくいため、部門と業務を対応させた分掌表を合わせて作成します。以下は、部門ごとの担当業務を「主管」「協力」の区分で示したサンプルです。
このサンプルでは、主管をその業務の取りまとめと遂行を主導する部門、協力を関与・支援する部門として定義します。主管が必ずしも最終決裁者や法的な責任者を意味するわけではなく、最終決裁者を明示する場合は決裁権限表や責任者欄を別途設ける必要があります。
| 業務領域 | 営業部 | 製造部 | 総務部 | 経理部 |
| 受注管理 | 主管 | 協力 | ー | 協力 |
| 生産計画・在庫管理 | 協力 | 主管 | ー | ー |
| 契約書の作成・管理 | 協力 | ー | 主管 | ー |
| 予算管理・資金繰り | 協力 | 協力 | ー | 主管 |
| 採用・労務管理 | ー | ー | 主管 | ー |
| 固定資産管理 | ー | 協力 | 協力 | 主管 |
実際に作成する際は、自社の部門構成・業務内容に合わせて行と列を調整してください。業務領域を細かくしすぎると、先述した「細分化のデメリット」が生じやすくなるため、まずは主要な業務単位で区分し、運用しながら必要に応じて粒度を見直す進め方が現実的です。
役職・担当者ごとの決裁権限まで整理したい場合は、本表に実行担当・承認者・最終決裁者の欄を加えるか、職務権限規程の決裁権限表として別建てにする方法があります。
導入が向いている企業・向いていない企業

職務分掌の整備は、どの企業にも同じように当てはまるわけではありません。組織の規模や成長フェーズによって、向き・不向きがあります。
組織が拡大し、業務が属人化してきた企業や、内部統制・IPO準備の観点から権限分散が求められる企業では、職務分掌の整備による効果が出やすい傾向があります。
営業・施工・契約・アフターサービスなど複数部門が関与する業務連携が多い業種では、業種を問わず担当範囲・承認・責任の整理が有効です。たとえばハウスメーカーや不動産・建設業はその代表例ですが、建設業法など自社に適用される業法・許認可要件がある場合は、その要件との整合も別途確認する必要があります。
一方で、従業員数が少なく業務が流動的な組織では、分掌を細かく定めすぎると柔軟な対応がしにくくなり、逆効果になる場合があります。こうした企業では、まずは主要な業務領域だけを大まかに区分する簡易的な整理から始め、組織の成長に合わせて段階的に整備していく進め方が適しています。
分掌規程・分掌表の運用と見直し

職務分掌規程・分掌表は、作成して終わりにできるものではありません。組織変更や事業拡大、新規事業の立ち上げなどが発生するたびに、担当業務や権限の範囲は変化していきます。定期的な見直しを行わないと、規程と実際の業務実態との間にズレが広がり、形骸化してしまいます。
見直しのタイミングとしては、組織改編や新部門の設置、主要メンバーの異動などの節目に加え、業務システムの導入、関連法令の改正、重大な事故・不正の発生なども契機になります。あらかじめ見直しの責任者を決めておき、節目がない場合でも年に一度程度は分掌表と実態の整合性を確認する運用にしておくと、ズレを早期に発見しやすくなります。
分掌規程・分掌表を始める前のチェックリスト
規程作成に着手する前に、以下の項目を社内で確認しておくと、後の手戻りを減らせます。
- 現状の組織図と実際の業務実態が一致しているか
- 部門をまたぐ業務について、主管・協力の区分を決められているか
- 分掌表に落とし込む前に、現場へのヒアリングを行う予定があるか
- 規程・分掌表の改廃を誰が承認するか、ルールを決めているか
- 完成後に誰がどのタイミングで見直すか、運用担当者を決めているか
このチェックリストを満たせないまま規程作成を進めると、現場の実態と合わない分掌になりやすく、せっかく整備しても定着しないまま形だけの資料になってしまいます。
社内のリソースだけで整理しきれない場合、組織設計や評価制度づくりを専門に支援する立場から相談を受けることも選択肢の一つです。
TechHouse.Worksでも、MVV・役割・評価・意思決定の設計を扱う「ピープルアーキテクト」の取り組みの中で、分掌の整理に関するご相談をお受けしています。自社だけで進めるのが難しいと感じたときは、お問い合わせから気軽にご相談ください。
よくある質問
Q1. 職務分掌と業務分掌は同じ意味ですか?
両語に業界統一の厳密な使い分けがあるわけではありません。本記事では、職務分掌を役職・担当者の役割・責任・権限の範囲までを含む概念、業務分掌を部門・担当者が受け持つ業務内容そのものの明確化に重点を置いた言葉として整理しています。ただし実務上は厳密に区別されず、同じ意味で使われる場面も多くあります。規程の名称と対象範囲は企業によって異なるため、自社の規程体系に合わせて確認してください。
Q2. 職務分掌規程と職務権限規程はどちらを先に作るべきですか?
決まった順序が定められているわけではありませんが、まず職務分掌規程・分掌表で「誰が何を担当するか」を整理し、そのうえで職務権限規程として「どこまで決裁できるか」を定める、という進め方があります。両者を1つの規程でまとめて整備する企業もあります。
Q3. 職務分掌規程の作成は従業員数が少ない企業でも必要ですか?
必須ではありません。従業員数が少なく業務が流動的な組織では、細かな分掌が柔軟性を損なう場合もあります。まずは主要な業務領域を大まかに区分する簡易的な整理から始め、組織の成長に合わせて段階的に精度を上げていく進め方が現実的です。
Q4. 分掌規程・分掌表はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
組織改編や新部門の設置、主要メンバーの異動などの節目のタイミングで見直すことが基本です。節目がない場合でも、年に一度程度は実態との整合性を確認する機会を設けておくと、形骸化を防ぎやすくなります。
Q5. 内部統制の観点で職務分掌規程は必ず作成しなければなりませんか?
「職務分掌規程」という名称の文書作成自体が法令で一律に義務付けられているわけではありません。金融商品取引法上、上場会社などは内部統制報告制度の対象となり、財務報告に係る内部統制の評価・報告が必要です。
上場準備企業は、上場後の制度対応や審査・監査を見据えて早期に整備する例が多いものの、準備段階に同制度が直接適用されるかは会社の状況によって異なります。
非上場の中堅企業でも、会社法上の大会社に該当する場合は、会社の機関設計に応じて内部統制システムの整備に関する事項を決定する義務があるなど、個別の法令・契約上の要請が関わる場合があります。自社にとっての必要性は、制度の動向を確認しながら専門家に相談して判断することをおすすめします。
Q6. 分掌表はExcelで管理しても問題ありませんか?
分掌表はExcelや社内の文書管理システムなど、さまざまな形で管理できます。重要なのはツールの種類ではなく、現場の実態に合わせて定期的に更新・周知される運用が維持されているか、また版管理や承認履歴、アクセス権が適切に管理されているかどうかです。
まとめ
職務分掌は、部門・役職ごとの担当業務と責任・権限の範囲を分掌規程・分掌表で明文化し、組織運営の基盤を整える取り組みです。業務分掌や職務権限規程といった似た言葉との違いを理解したうえで、現場の実態を反映した分掌表を作り、定期的に見直していく運用がポイントになります。
一方で、職務分掌の整備は組織づくりの一部分にすぎません。事業が成長し新規事業への挑戦が増えていくほど、担当業務の線引きだけでなく、組織そのものの作り方や人材戦略まで含めた見直しが必要になる場面が出てきます。
TechHouse.Worksは、審査を伴うシード〜アーリー期のスタートアップ向けに、審査を経て最大500万円のマイクロ出資と伴走支援を組み合わせたBoot UP!などのプログラムを展開する一方、中堅企業の新規事業の立ち上げや組織づくりについても個別に相談を受け付けています。
「自社の挑戦を、誰と一緒に進めるか」を検討されている方は、お気軽にご相談ください。なお、挑戦する組織づくりの思想については、noteでも発信しています。