スタートアップの資金調達方法とは?種類・ラウンド別の選び方から失敗しない注意点まで解説

スタートアップの資金調達方法とラウンド別の選び方を表した線画イラスト

「自己資金だけでは、事業のスピードに開発や採用が追いつかない」「投資家に相談したいが、エクイティとデットの違いもまだ整理できていない」。新規事業の立ち上げやスタートアップの経営に携わる中で、こうした声を耳にする場面は少なくありません。

資金調達には株式による方法、融資による方法、公的な補助金など複数の選択肢があり、それぞれ議決権への影響や返済義務の有無が異なります。加えて、シードからシリーズA以降まで続くラウンドの違いや、いくら調達すべきかという金額感も、経験がなければ判断がつきにくいところです。

選択肢が多いテーマだからこそ、自社のステージや目的に合わない方法を選んでしまうと、経営権の希薄化や返済負担といった形で後々の経営を圧迫しかねません。そこで本記事では、資金調達の方法別の特徴、ラウンドごとの位置づけ、調達のタイミングと金額の考え方、そして失敗を避けるための注意点まで、実務に沿って整理して解説します。

沖岡 豊大

沖岡 豊大

我々は誰もが挑戦の歩みを止めず、
失敗を糧に再チャレンジできる寛容な社会の実現を
目指して活動しています。

創業背景としては、エンジニア起業家の養成スクールで得た気づきがきっかけでした。自身のWhy meをプロダクトに落とし込み、投資家に対してピッチを行うのですが、卒業後も挑戦を”続けられる”人間がごく僅かだということを実感しました。志のある優秀な方でも、リスクを背負い、様々なハードシングスを乗り越えながら進み続けることは、実際には非常に困難です。そこで、起業家に同志として寄り添い、何度でも挑戦し続けられる環境を構築したいと思うようになり創業に至りました。
最終的にわたしもいち起業家として、TechHouse.Worksのサポートを得ながら、新たな事業を創るのが私の夢です。

スタートアップの資金調達とは?基礎知識と重要性

スタートアップの資金調達の基礎知識を確認する担当者たちの線画イラスト

まず、資金調達がなぜスタートアップの経営において重要な意味を持つのか、基本的な考え方から確認します。

資金調達の位置づけ|自己資金だけで成長が難しい理由

資金調達とは、事業を運営・拡大するために必要な資金を、自己資金以外の手段で外部から集める活動を指します。創業初期は自己資金や身近な人からの出資で事業を始められても、開発体制の強化や採用、マーケティングへの投資が必要になる段階では、自己資金だけで賄うことが難しくなるケースが多く見られます。

スタートアップは、先行投資によって成長スピードを確保し、市場での競争優位を築くビジネスモデルを取ることが多いため、外部からの資金調達が事業計画上の前提になっていることも珍しくありません。一方で、資金調達はあくまで手段であり、調達すること自体が事業の成功を保証するわけではない点には留意が必要です。

資金調達の主な資金源(投資家・金融機関・公的機関)

資金調達の出し手は、大きく分けて投資家、金融機関、公的機関の3種類に整理できます。

投資家からの出資は、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家が中心で、株式と引き換えに資金を提供してもらう形が一般的です。金融機関からの融資は、銀行融資や日本政策金融公庫などの融資制度が代表的で、返済義務を伴う代わりに株式の希薄化が生じません。公的機関による補助金・助成金は、国や自治体が政策目的に沿って提供する返済不要の支援制度です。

自社がどの資金源と相性が良いかは、事業のステージや資金使途、返済能力によって変わります。次の章では、それぞれの資金調達方法をより具体的に見ていきます。

スタートアップの資金調達方法一覧|種類別の特徴とメリット・デメリット

エクイティやデットなど資金調達方法を比較検討する担当者の線画イラスト

資金調達の方法は、大きくエクイティファイナンス、デットファイナンス、アセットファイナンス・ファクタリング、クラウドファンディング・RBF、補助金・助成金の5つに分類できます。それぞれの特徴を理解した上で、自社に合う方法を組み合わせることが重要です。

エクイティファイナンス(株式による資金調達)

エクイティファイナンスとは、自社の株式を発行し、投資家に引き受けてもらうことで資金を調達する方法です。VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家からの出資が代表的で、調達した資金に返済義務がない点が大きなメリットとして挙げられます。

一方で、株式を発行するということは、既存株主の持分比率が下がる「希薄化」が生じるということでもあります。持分比率が下がりすぎると、重要な経営判断に必要な議決権を確保しづらくなる可能性があるため、調達ラウンドごとにどの程度の株式を放出するかは慎重に検討する必要があります。

デットファイナンス(融資による資金調達)

デットファイナンスとは、銀行融資や制度融資など、金融機関からの借り入れによって資金を調達する方法です。エクイティファイナンスと異なり株式を発行しないため、経営権への影響が少ない点がメリットとして挙げられます。

ただし、借り入れである以上、返済義務が生じます。事業計画に対して過大な借り入れを行うと、返済負担がキャッシュフローを圧迫するリスクがあります。民間金融機関では、創業間もない段階では実績や担保が乏しく、審査のハードルが相対的に高くなりやすい一方、日本政策金融公庫には「新規開業・スタートアップ支援資金」など創業期向けの融資制度があり、創業初期でも検討の余地がある点は押さえておきたいところです。

アセットファイナンス・ファクタリング

アセットファイナンスとは、自社が保有する資産(不動産・設備・売掛金など)を活用して資金を調達する方法の総称です。中でもファクタリングは、保有する売掛金を期日前に現金化する手法として、資金繰りの改善に活用されることがあります。

ファクタリングは融資に比べて手続きが比較的短期間で進むケースがある一方、手数料相当のコストが発生するため、実際に受け取れる金額は売掛金の額面より少なくなる点には注意が必要です。

クラウドファンディング・RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の支援者から少額ずつ資金を集める方法です。製品・サービスの認知獲得や、事業への共感を可視化する手段としても活用されています。一口にクラウドファンディングといっても、支援の見返りに製品・サービスを提供する購入型、見返りを求めない寄付型、資金の貸付を通じて行う融資型、株式を発行する株式投資型など複数の類型があり、それぞれ適用される法規制が異なります。特に株式投資型は金融商品取引法の対象であり、取り扱う事業者には登録等の要件があるため、利用を検討する際は類型ごとの違いを確認しておく必要があります。

RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)は、将来の売上(レベニュー)の一定割合を返済原資とする資金調達手法です。株式の希薄化を避けながら、事業の成長スピードに応じた資金調達を行える点が特徴とされていますが、対象となる事業モデルや審査基準は提供会社によって異なるため、事前の条件確認が必要です。

補助金・助成金による資金調達

補助金・助成金は、国や自治体が政策目的に沿って提供する返済不要の公的支援制度です。返済義務がないという点で他の資金調達方法と大きく異なりますが、対象となる事業内容や要件が公募ごとに定められており、誰でも自由に使途を決められるわけではありません。

申請にあたっては、事業計画書をはじめとする各種資料の準備が必要になるほか、採択後も実績報告などの手続きが求められることが一般的です。制度の詳細は、経済産業省や中小企業庁などの公式情報で最新の公募要項を確認することをおすすめします。

ここまでの内容を、判断材料として比較表に整理すると次のようになります。

資金調達方法 返済義務 議決権への影響 主な資金源
エクイティファイナンス なし 持分の希薄化が生じる VC・エンジェル投資家
デットファイナンス あり ほとんどなし 銀行・政府系金融機関
アセットファイナンス・ファクタリング 手法による ほとんどなし 金融機関・専門業者
クラウドファンディング・RBF 手法による 手法による 個人支援者・専門業者
補助金・助成金 なし なし 国・自治体

TechHouse.Worksでも、新規事業に挑む中堅企業に対して、出資を通じた伴走支援を行っています。どの資金調達方法が自社に合うか判断がつかない場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。

中堅企業の新規事業における資金調達の視点

資金調達というと創業直後のスタートアップの話に聞こえるかもしれませんが、中堅企業が社内で新規事業を立ち上げる場合にも、外部からの資金調達や出資という考え方は無関係ではありません。社内で新規事業を推進する担当者が「イントレプレナー(社内起業家)」として事業を任される場合、社内予算の確保や外部パートナーとの資本提携が、実質的な資金調達に近い意味を持つこともあります。

特にハウスメーカーや不動産・建設業など、既存事業の変化のスピードが緩やかな業種では、新規事業を切り出して独立採算に近い形で運営し、外部の出資や伴走支援を受け入れることで、意思決定のスピードを確保する選択肢になり得ます。自社の新規事業をどのような資本構成で進めるかという論点は、スタートアップの資金調達の考え方と共通する部分が少なくありません。

資金調達ラウンド(シード〜シリーズA以降)の位置づけとタイミング

シードからシリーズA以降の資金調達ラウンドの流れを表す線画イラスト

資金調達には、シードからシリーズA以降まで続く「ラウンド」という区分があります。ラウンドごとに、投資家が重視するポイントや企業の評価のされ方が変わってきます。

各ラウンドのイメージと投資家が重視するポイント

一般的に、創業前後の構想・検証段階を「シード」、事業が一定の形になり始める段階を「アーリー」、そこからさらに事業を拡大していく段階を「シリーズA」以降と呼ぶことが多いとされています。ラウンドが進むにつれて、企業の評価額(バリュエーション)や調達額は大きくなる傾向がありますが、具体的な金額は業種や事業モデル、そのときどきの投資環境によって幅があり、一律の相場を断定することは難しい点にご留意ください。

投資家がラウンドごとに重視するポイントも変化します。シード期はチームの実行力や事業アイデアの独自性が重視されやすいのに対し、シリーズA以降では、実際の売上・顧客数といった事業実績に基づく評価が重視される傾向があります。

ラウンド別におすすめの調達方法の組み合わせ

シード期は、事業の実績がまだ乏しいため、エンジェル投資家や創業者個人のネットワーク、補助金・助成金を組み合わせることが多い傾向にあります。事業が軌道に乗り始めるアーリー期以降は、VCからのエクイティファイナンスに加えて、金融機関からのデットファイナンスを組み合わせる企業も増えてきます。

シリーズA以降、事業規模がさらに拡大する局面では、複数のVCによる共同投資や、将来の上場(IPO)を見据えた資金計画を立てるケースも出てきます。いずれの段階でも、単一の資金調達方法に依存せず、事業のフェーズに応じて複数の選択肢を組み合わせる視点が重要です。

ラウンドごとの位置づけを整理すると、次のようになります。

ラウンド 主な位置づけ 主な資金源の例
シード 構想・検証段階 エンジェル投資家・補助金・助成金
アーリー 事業が形になり始める段階 VC・エンジェル投資家
シリーズA 事業拡大の初期段階 VC・金融機関
シリーズB以降 事業のさらなる拡大段階 複数VCの共同投資・金融機関

資金調達のタイミングといくら調達すべきかの考え方

資金調達のタイミングと調達額を検討する担当者の線画イラスト

資金調達は、いつ・いくら実施すべきかという判断が難しいテーマです。ここでは、タイミングと金額の考え方を整理します。

資金調達をすべきタイミングの見極め方

資金調達のタイミングは、単純に「資金が足りなくなったとき」だけで判断すると、交渉力が弱まったり、資金が尽きる前に条件を固められなかったりするリスクがあります。事業計画とキャッシュフローの見通しから逆算し、資金が枯渇する前に、余裕を持って調達活動を始めることが望ましいとされています。

また、資金調達は一度きりの活動ではなく、事業の成長段階に応じて複数回にわたって行うことが前提になっている点も押さえておく必要があります。今回の調達だけでなく、次のラウンドをどう見据えるかという視点も持っておくと、資本政策の一貫性を保ちやすくなります。

いくら調達すべきか|金額の考え方と希薄化リスクとのバランス

調達額は、事業計画の実行に必要な資金に、一定の余裕を加味して算出する考え方が一般的です。ただし、多額の資金を調達すればよいというわけではありません。エクイティファイナンスで多額の資金を調達すると、その分だけ株式の希薄化も進みやすくなるため、必要な資金と希薄化のバランスを踏まえた判断が求められます。

事業フェーズごとの相場感を把握しつつ、自社の事業計画に照らして「何のために」「いくら」調達するのかを明確にすることが、投資家・金融機関との対話でも重要になります。目的が曖昧なまま多額の調達を行うと、資金使途の説明が後から難しくなる点にも注意が必要です。

資金調達を成功させるための準備

資金調達を成功させるための事業計画書準備を表す線画イラスト

資金調達を円滑に進めるためには、事前の準備が欠かせません。ここでは、準備段階で押さえておきたいポイントを整理します。

事業計画書・財務資料の整備

投資家や金融機関に資金調達を打診する際には、事業計画書や財務資料の整備が前提になります。事業の概要、市場環境、収益モデル、財務計画などを、第三者が理解できる形で言語化しておく必要があります。

資料の精度が低いと、内容以前の段階で信頼を得にくくなってしまうため、時間をかけて準備する価値のある工程だといえます。特に、数値計画の根拠が曖昧なままだと、審査や交渉の場で説得力を欠く要因になりやすい点には注意が必要です。

投資家・金融機関が見るポイント

投資家や金融機関は、事業計画の実現可能性に加えて、経営チームの実行力や、これまでの実績を重視する傾向があります。特にエクイティファイナンスの場合は、将来的な成長性や市場の将来性も評価の対象になります。

準備段階でのチェックポイントを整理すると、次のようになります。

  • 事業計画書・財務資料が第三者にも分かりやすく整理されているか
  • 資金使途と調達額の根拠が明確になっているか
  • 経営チームの実行力を示す実績・体制が整理されているか
  • 顧客検証の進捗や、事業の再現性・成長性を示す指標(ユニットエコノミクス=顧客1件あたりの採算性など)を説明できるか
  • 想定される質問(市場規模・競合優位性など)への回答を準備できているか

新規事業の立ち上げにあたり、事業計画の整理や資金調達の進め方そのものに不安がある場合は、外部の伴走支援を相談してみるという選択肢もあります。

資金調達で失敗しないための注意点

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資金調達は、実行すること自体が目的化してしまうと、後々の経営に影響を及ぼすことがあります。ここでは、見落とされがちな注意点を整理します。

議決権比率の低下・経営権への影響

エクイティファイナンスを繰り返すと、その都度、既存株主の持分比率が下がっていきます。持分比率の低下が積み重なると、重要な経営判断に必要な議決権を確保できなくなる可能性があります。調達ラウンドごとにどの程度の株式を放出するかは、目先の調達額だけでなく、将来の資本政策まで見据えて検討することが重要です。

投資契約の内容によっては、議決権の比率だけでなく、特定の経営判断に投資家の同意を要する条項が含まれる場合もあります。契約前に、どのような意思決定に制約が生じるのかを確認しておくことが望ましいといえます。

返済負担・契約条件の見落とし

デットファイナンスやファクタリングなど、返済義務やコストが発生する方法を選ぶ際には、返済スケジュールとキャッシュフローの整合性を事前に確認しておく必要があります。契約条件を十分に確認しないまま資金調達を進めてしまうと、想定以上の負担が事業運営を圧迫する可能性があります。

契約内容が複雑な場合は、弁護士や税理士など専門家の確認を挟むことも、リスクを避ける上で有効な手段です。調達目的と使途を事前に明確にしておくことも、契約条件の妥当性を判断する材料になります。

資金調達の失敗パターンに学ぶ

具体的な企業名を挙げずに一般化すると、資金調達の失敗には共通するパターンが見られます。たとえば、必要額を精査しないまま多額のエクイティファイナンスを実施した結果、想定以上に持分の希薄化が進み、その後の重要な意思決定で経営陣の裁量が制限されてしまうケースです。また、返済計画を十分に検討せずにデットファイナンスを実行し、事業が計画どおりに進まなかった際に返済負担がキャッシュフローを圧迫してしまうケースも典型的なパターンとして挙げられます。

こうしたパターンに共通するのは、調達すること自体を目的化し、調達後の経営や資金繰りへの影響を十分にシミュレーションしていない点です。資金調達の判断は、金額の大小だけでなく、調達後にどのような制約が生じるかまで含めて検討することが重要だといえます。

資金調達後の資金管理と投資家への報告

資金調達後の資金管理と投資家への報告を表す線画イラスト

資金調達は、実行して終わりではありません。調達後の資金管理も、経営上重要な実務の一つです。

資金使途の説明責任・投資家への報告

エクイティファイナンスで資金を受け入れた場合、投資契約や株主間契約の内容に応じて、投資家に対して事業の進捗や資金使途を定期的に報告することを求められるのが一般的です。当初の計画通りに資金を使えているか、事業計画に対する進捗はどうかといった情報を、定期的に共有する体制を整えておく必要があります。

報告を怠ったり、内容が不十分だったりすると、投資家との信頼関係に影響し、次のラウンドでの調達活動にも支障をきたす可能性があります。

使途トラッキングの実務ポイント

資金使途を適切に管理するためには、調達時点で資金使途の内訳をあらかじめ整理しておき、実際の支出と照らし合わせて管理する仕組みを持つことが望ましいとされています。使途が当初の計画から大きく乖離する場合には、その理由を投資家に説明できるようにしておくことも、信頼関係を維持する上で重要です。

会計・財務の管理体制が整っていない段階では、資金使途の記録が属人化しやすく、報告の準備に多くの時間がかかってしまうこともあります。早い段階から管理の仕組みを整えておくことが、後々の負担軽減につながります。

国内スタートアップの資金調達動向

国内スタートアップの資金調達動向を俯瞰する線画イラスト

資金調達を検討する上では、国内全体の動向を把握しておくことも参考になります。近年は、国としてもスタートアップの育成を政策の重点分野として位置づける動きが見られます。

例えば、政府は2022年11月に「スタートアップ育成5か年計画」を決定し、①人材・ネットワークの構築、②資金供給の強化と出口戦略の多様化、③オープンイノベーションの推進を3本柱として、スタートアップへの投資額を2027年度までに10兆円規模へ拡大することを政策目標の一つに掲げています。また、経済産業省・JETRO(日本貿易振興機構)・NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が事務局を担う官民連携プログラム「J-Startup」のように、有望なスタートアップを選定し、海外展開支援や研究開発支援などを官民一体で提供する取り組みも進められています。

こうした政策動向に加えて、民間データベースや業界レポートで公表されるラウンド別・件数別の集計も、業界全体の傾向を把握する材料になります。ただし、年によって調達環境は変動するため、断定的な数値を示すのではなく、最新の集計は各機関の公表情報を都度確認することをおすすめします。

また、国内では、事業会社が自社の戦略に沿ってスタートアップへ出資するCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)や、大企業からのスピンオフ型スタートアップなど、資金調達の形態も多様化する傾向が見られます。自社単独でVCや金融機関に相談する以外にも、事業会社との資本業務提携という選択肢を視野に入れることで、資金調達の幅を広げられる場合があります。

資金調達に関するよくある質問

資金調達に関して、よく寄せられる質問を整理しました。

Q1. スタートアップの資金調達方法にはどんな種類がありますか?

エクイティファイナンス(株式による調達)、デットファイナンス(融資による調達)、アセットファイナンス・ファクタリング、クラウドファンディング・RBF、補助金・助成金の5つに大きく分類できます。それぞれ返済義務の有無や議決権への影響が異なるため、事業のステージに応じて組み合わせることが一般的です。

Q2. スタートアップの資金調達額の相場はどのくらいですか?

ラウンド・業種・事業モデル、そしてそのときどきの投資環境によって大きく異なるため、一概に相場を示すことは困難です。金額の相場を追いかけるよりも、採用計画・開発投資・販促投資など事業計画に必要な項目を積み上げ、当面の運転資金がどれだけ持つか(ランウェイ)を踏まえて必要額を算出する考え方の方が実務的です。最新の調達額の傾向を知りたい場合は、民間の資金調達データベースや、政府・関係機関が公表する資料を都度確認することをおすすめします。

Q3. 資金調達をすべきタイミングはいつですか?

資金が枯渇してから動き出すのではなく、事業計画とキャッシュフローの見通しから逆算し、余裕を持って準備を始めることが望ましいとされています。資金調達には一定の準備期間と交渉期間がかかるため、早めの着手が推奨されます。

Q4. 資金調達で失敗しないためのポイントは?

議決権比率の低下など経営権への影響と、返済負担・契約条件を事前に確認することが基本になります。調達すること自体を目的化せず、調達後の資金管理・報告体制まで見据えて準備を進めることが、失敗を避けるポイントです。

Q5. 資金調達の準備はいつから始めるべきですか?

事業計画書・財務資料の整備には一定の時間がかかるため、実際に資金が必要になる時期から逆算して、余裕を持って準備を始めることが推奨されます。特にエクイティファイナンスの場合は、投資家との対話にも時間を要するため、早めの準備が重要です。

まとめ

資金調達には、エクイティファイナンス、デットファイナンス、アセットファイナンス・ファクタリング、クラウドファンディング・RBF、補助金・助成金といった複数の方法があり、それぞれ返済義務の有無や議決権への影響が異なります。自社の事業ステージや資金使途に応じて、これらを適切に組み合わせることが、無理のない資金計画につながります。

また、資金調達はラウンドを重ねるごとに評価額や調達額が変化していく前提のものであり、一度の調達で完結するものではありません。タイミングと金額の見極め、そして調達後の資金管理まで含めて、長期的な視点で計画を立てることが重要です。

TechHouse.Worksでは、出資(最大500万円)と継続的な伴走支援を組み合わせたスタートアップスタジオモデル「Boot UP!」として、資金調達を含む新規事業の立ち上げを支援しています。自社に合う資金調達方法や進め方の相談先を探している方は、お気軽にお問い合わせすることをおすすめします。

なお、新規事業やスタートアップ支援に関するより深い思想・原論については、noteでも発信しています。