データ活用とは?中堅企業が進め方・メリット・注意点を押さえ新規事業につなげる方法
DX
2026.8.24
「データはあるはずなのに、経営判断に活かしきれていない」「DXを掲げてはみたものの、結局は勘と経験に頼った意思決定から抜け出せない」——中堅企業の新規事業責任者や事業部門の担当者から、こうした声を耳にすることは少なくありません。売上データや顧客データ、業務システムのログはすでに社内に蓄積されているのに、それを分析し、次の一手につなげる仕組みが整っていない。担当者を任命したものの、何から手をつければよいか分からず、結局は一部のExcel集計にとどまっている——という状態です。
この悩みは決して特殊なものではありません。中小企業庁「2025年版中小企業白書」によれば、同白書がデジタル化の進展度を4段階(未着手/ツール導入段階/業務効率化・データ分析段階/ビジネスモデル変革段階)に分類する中で、その最初の段階にあたる「デジタル化に全く着手できていない」企業の割合は2023年の30.8%から2024年には12.5%へと大きく減少しており、多くの中小企業がすでに何らかのデジタル技術を業務に取り入れる段階まで進んでいます。一方で同白書は、デジタル化への着手率が急速に高まる一方、業務効率化やデータ分析に取り組む段階、さらにビジネスモデルの変革にまで至る本格的なDXへの移行は道半ばであるとも指摘しており、着手段階と本格的な活用段階との間に開きが生じつつあります。つまり、多くの中堅企業は「デジタルツールは導入した。しかしデータ活用の段階には至っていない」という踊り場に立っているのです。
そこで本記事では、データ活用の基本的な考え方から、中堅企業が実務で押さえておくべき進め方・メリット・注意点、そして業種別の具体的な視点までを、新規事業・DX推進の実務目線で解説します。データ活用を社内でどう進めるべきか、あるいは外部の専門家とどこまで連携すべきかを判断する材料として、ぜひ最後までご覧ください。

沖岡 豊大
我々は誰もが挑戦の歩みを止めず、
失敗を糧に再チャレンジできる寛容な社会の実現を
目指して活動しています。
創業背景としては、エンジニア起業家の養成スクールで得た気づきがきっかけでした。自身のWhy meをプロダクトに落とし込み、投資家に対してピッチを行うのですが、卒業後も挑戦を”続けられる”人間がごく僅かだということを実感しました。志のある優秀な方でも、リスクを背負い、様々なハードシングスを乗り越えながら進み続けることは、実際には非常に困難です。そこで、起業家に同志として寄り添い、何度でも挑戦し続けられる環境を構築したいと思うようになり創業に至りました。
最終的にわたしもいち起業家として、TechHouse.Worksのサポートを得ながら、新たな事業を創るのが私の夢です。
データ活用とは何か

データ活用とは、企業が保有する売上データ・顧客データ・業務データなどを分析し、経営判断や業務プロセスの改善、新規事業の創出といった具体的なアクションに結びつけるプロセスを指します。単にデータを集めて眺めるだけでは活用とは呼べません。分析結果を実際の意思決定や行動に落とし込み、成果につなげて初めて「データ活用」が成立します。
データ分析とデータ活用の違い
データ活用としばしば混同される言葉に「データ分析」があります。データ分析は、収集したデータを統計的手法やツールを用いて解析し、傾向やパターンを明らかにする作業そのものを指します。一方でデータ活用は、その分析結果を経営判断や業務改善、新商品開発といった具体的な行動に反映させるところまでを含む、より広い概念です。データ分析は手段であり、データ活用はその手段を使って成果を出すプロセス全体だと捉えると理解しやすいでしょう。分析だけで終わってしまい、次のアクションにつながっていないケースは中堅企業でも珍しくなく、この違いを社内で共有しておくことが最初の一歩になります。
データ活用の目的
データ活用に取り組む目的は企業によって異なりますが、大きく分けると「業務効率化・コスト削減」「意思決定の精度向上」「新規事業・新たな収益機会の発見」の3つに整理できます。既存業務の改善を目的とする場合はデータ分析基盤の整備が中心になりますが、新規事業創出を目的とする場合は、社内データに加えて市場動向や顧客の外部データも組み合わせた、より広い視野での活用が求められます。目的が曖昧なままツール導入だけを進めてしまうと、「データは集まったが何に使えばよいか分からない」という状態に陥りやすいため、着手前に自社の目的を明確にしておくことが重要です。
データ活用が中堅企業にとって重要な理由

データ活用の重要性は、単なるトレンドではなく、政府の政策文書にも繰り返し示されています。経済産業省は2018年に公表した「DXレポート」の中で、企業がレガシーシステムを刷新できずデータ活用を含むDXの実現が遅れた場合、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘しました。これがいわゆる「2025年の崖」です。経営判断に必要なデータが社内に散在したまま統合されない状態が続くと、データドリブンな経営そのものが遠のいてしまうという警鐘です。
人材面の課題も顕著です。総務省「令和7年版情報通信白書」(2025年7月公表)では、各国企業のデジタル化の状況を比較する調査の中で、日本企業がデジタル化に取り組む際の課題として「人材不足」を挙げる割合が48.7%と、諸外国と比較して高い水準にあることが示されています。また独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査レポート「DX動向2025」(2025年6月公表)では、日本企業の85.1%が「DXを推進する人材がやや不足している、または大幅に不足している」と回答しており、これは米国・ドイツと比較しても著しく高い水準です。同レポートは、成果を出している企業に共通する特徴として、勘や経験だけでなく収集したデータを分析し、客観的な事実に基づいて意思決定を行う「データドリブンな意思決定」の文化が根付いている点を挙げています。
中堅企業の立場から見ると、これらの統計は「データ活用の重要性は理解しているが、社内に専任の人材を確保しにくい」という現実的な悩みを裏付けるものです。大企業のように専門部署やデータサイエンティストを大量に抱えることが難しいからこそ、限られたリソースの中で優先順位をつけ、必要に応じて外部の知見を借りながら進める発想が求められます。
活用できるデータの種類

データ活用を検討する際は、自社にどのようなデータが存在し、それぞれをどう組み合わせられるかを整理することから始まります。データは大きく「構造化データ」と「非構造化データ」、また取得元によって「内部データ」と「外部データ」に分類できます。
| 分類軸 | 種類 | 具体例 | 活用のしやすさ |
| データ形式 | 構造化データ | 販売実績・顧客名簿・会計データなど表形式で整理されたデータ | 比較的活用しやすい |
| データ形式 | 非構造化データ | 商談メモ・問い合わせメール・SNS投稿・画像など形式が不定のデータ | 分析には前処理や専用ツールが必要 |
| 取得元 | 内部データ | 自社の販売・顧客・業務システムから得られるデータ | 収集コストが低く着手しやすい |
| 取得元 | 外部データ | 市場調査・公的統計・競合情報・SNS上の消費者の声など | 内部データと組み合わせることで新たな示唆が得られる |
構造化データは表計算ソフトやBIツール(ビジネスインテリジェンスツール。データを可視化し、経営判断を支援するソフトウェアの総称)で比較的扱いやすく、多くの中堅企業がまず着手しやすい領域です。一方、非構造化データは前処理の手間がかかるため後回しにされがちですが、顧客の生の声や現場の気づきが含まれていることが多く、新規事業のヒントを得るうえでは軽視できません。内部データだけで判断すると自社の視点に偏りがちなため、業界動向や競合の外部データと組み合わせることで、意思決定の精度を高めることができます。
データ活用に取り組むメリット

データ活用を進めることで得られるメリットは、大きく3つに整理できます。
第一に、意思決定の精度とスピードの向上です。過去の実績データや顧客の行動データをもとに判断することで、担当者の経験や勘に依存しない、根拠のある意思決定が可能になります。特に複数の事業部門や拠点を抱える中堅企業では、データに基づく共通の判断軸を持つことで、部門間の合意形成もスムーズになります。
第二に、業務効率化とコスト削減です。業務プロセスの中でどこにボトルネックが生じているかをデータで可視化することで、無駄な工程や重複作業を特定しやすくなります。属人化していた業務のノウハウをデータとして蓄積・共有できれば、担当者の異動や退職による業務停滞のリスクも軽減できます。
第三に、新規事業や新たな収益機会の発見です。顧客データやアンケートで見えていなかったニーズを分析から抽出できれば、既存事業の延長線上にない新しい商品・サービスのヒントが得られます。特に新規事業への挑戦を検討している中堅企業にとっては、社内データと市場データを掛け合わせる作業そのものが、新規事業の種を見つける第一歩になり得ます。
データ活用でつまずきやすいポイント・リスク

メリットが大きい一方で、データ活用にはつまずきやすいポイントも存在します。ここでは中堅企業が見落としがちな3つのリスクを紹介します。
1つ目は、目的が曖昧なままデータ収集・ツール導入を先行させてしまうことです。「まずはBIツールを入れれば何とかなる」という発想で着手すると、ダッシュボードは作られたものの誰も見ない、というよくある失敗に陥ります。目的とKPI(重要業績評価指標)を先に定義し、それを測るために必要なデータは何かという順番で設計することが欠かせません。
2つ目は、データの品質や信頼性を軽視することです。入力ミスや欠損値、部門ごとに定義が異なる指標をそのまま分析にかけてしまうと、誤った結論を導いてしまいます。分析の精度を高める以前に、データの収集・整理の段階で品質を確保する仕組みが必要です。
3つ目は、個人情報や機密情報の取り扱いへの配慮不足です。顧客データを扱う以上、個人情報保護法をはじめとする法令の遵守は前提条件です。具体的には、利用目的をあらかじめ特定して通知・公表すること、第三者へデータを提供する際は原則として本人の同意を確認すること、外部委託先の管理を徹底することなどが求められます。なお、外部ベンダーへデータの取り扱いを任せる場合、契約内容次第では「第三者提供」ではなく「委託」に該当することがあり、両者は法令上異なる整理が必要な論点である点にも留意が必要です。また2022年の法改正により、個人情報の漏えい等が生じ本人の権利利益を害するおそれがある場合は、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務化されている点にも注意が必要です。データの分類とアクセス権限の管理を怠ると、情報漏えいのリスクだけでなく、顧客からの信頼を損なうことにもつながります。専門的な法令解釈が必要な場合は、社内の判断だけで進めず、必要に応じて専門家に確認することをおすすめします。
データ活用を進める手順・流れ

データ活用を実務に落とし込む際は、以下のような手順で進めるのが一般的です。それぞれの目安期間は企業規模やデータの整備状況によって幅がありますが、参考として示します。
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
| 1. 目的・課題の設定 | 何を達成したいかを明確にし、関係者の合意を形成する | 2週間〜1ヶ月 |
| 2. データ収集・整理 | 必要なデータソースを選定し、収集・前処理を行う | 1〜3ヶ月 |
| 3. データ分析・可視化 | 目的に応じた分析手法を選び、結果を可視化する | 2週間〜1ヶ月 |
| 4. アクションプランの策定 | 分析結果をもとに具体的な施策を立案する | 2週間〜1ヶ月 |
| 5. 実行・効果検証 | 施策を実行し、KPIに基づいて効果を評価する | 継続的(1ヶ月〜四半期ごと) |
最初の「目的・課題の設定」を丁寧に行うほど、後工程がスムーズに進みます。逆に、この段階を飛ばして収集や分析から始めてしまうと、途中で目的を見失い、プロジェクトが停滞する原因になります。なお、上記の期間はあくまで目安であり、業種や既存システムの整備状況、データ量によって大きく前後します。特に複数部門にまたがるシステム統合を伴う場合は、1年以上を要するケースも珍しくありません。また、効果検証は一度きりで終わらせず、四半期や半期など一定のサイクルで見直すことで、データ活用そのものを組織の習慣として定着させることができます。
データ活用にかかるコスト・リソースの目安

データ活用にかかるコストは、既存のシステム環境や目指すレベルによって大きく異なります。表計算ソフトと比較的低コストで始めやすいBIツールの組み合わせであれば、初期費用を抑えて着手できるケースが多く見られます。一方で、複数部門のデータを統合する基盤(データ基盤)を構築する場合は、システム開発やクラウドサービスの利用料を含め、数百万円規模からより大きな投資になるケースまで幅があり、目指すレベルによって必要な予算は大きく変わります。多くの企業では、まず特定の業務領域や部門でスモールスタートし、成果を確認しながら段階的に投資範囲を広げるアプローチを取っています。
人的リソースについても同様です。専任のデータ分析担当者を新たに採用するには相応の採用コストと時間がかかりますが、既存の業務システム担当者や企画部門の担当者が兼務でスタートし、必要な範囲で外部の専門家の支援を受けるという進め方も現実的な選択肢です。重要なのは、自社の目的規模に対して過大投資にも過小投資にもならないよう、段階を踏んで拡張していく視点を持つことです。
データ活用を推進する社内体制・人材要件

データ活用を一部の担当者任せにせず、組織として推進するためには、体制づくりが欠かせません。理想的には、経営層がデータ活用の方向性を明確に発信し、事業部門と情報システム部門をつなぐ推進チームを設置することが望まれます。経営層が数値に基づく意思決定を率先して行う姿勢を見せることで、現場にもデータドリブンな文化が浸透しやすくなります。自社の取り組み状況を客観的に把握する手段として、IPAが公表している「DX推進指標」のような自己診断の枠組みを活用し、現在地を確認したうえで着手すべき領域を絞り込むという進め方も有効です。
前述の通り、日本企業の多くがDX推進人材の不足を感じているという調査結果もあり、中堅企業が専任のデータサイエンティストを社内だけで確保するのは容易ではありません。この場合、既存社員のスキルアップを図る社内研修に加えて、外部の専門家との連携を組み合わせるハイブリッドな体制が現実的です。すべてを内製化しようとせず、「社内で担うべき役割」と「外部の知見を借りるべき領域」を切り分けて設計することが、限られたリソースで成果を出すための鍵になります。データ活用の推進体制について社内での検討が難航している場合、専門家への相談も選択肢の一つとして検討する価値があります。
業種別に見るデータ活用の視点

データ活用の進め方は業種によって重視すべきポイントが異なります。ここでは中堅企業に多い業種を例に、具体的な視点を紹介します。
ハウスメーカー・住宅関連業では、来店・問い合わせから契約に至るまでの顧客接点データが分散しがちです。展示場での接客記録、Webサイトの問い合わせ履歴、営業担当者の商談メモといった情報を一元的に管理し、どの接点が契約率に影響しているかを分析することで、営業プロセス全体の改善につなげられます。
不動産・建設業では、物件情報や案件ごとの工期・コストデータを蓄積することで、見積もり精度の向上や、案件選定における意思決定の質を高めることができます。また、現場ごとの安全管理データや品質データを横断的に分析することで、リスクの早期発見にもつながります。
いずれの業種にも共通するのは、現場に眠っている情報を「データ」として意識的に記録・蓄積する文化をつくることの重要性です。特有の商習慣や業務フローがある業種ほど、汎用的なツールをそのまま導入するだけでは効果が出にくく、自社の業務実態に合わせた設計が必要になります。
データ活用を新規事業につなげる考え方

データ活用は、既存業務の改善だけでなく、新規事業の種を見つける手段としても有効です。ここで重要になるのが、デジタル化から新規事業までの順序を意識することです。一つの有効な進め方として、まず業務のデジタル化を進めて基礎的なデータを蓄積し、次に顧客接点のデータを統合・分析して顧客理解を深め、その理解をもとに新規事業のアイデアを検討するという順番が挙げられます。この順序を踏むことで、データに裏付けられた確度の高い事業構想につながりやすくなります。もっとも、新規事業の検討は仮説を先行させ、必要なデータを後から取得・検証していくアプローチもあり得るため、これが唯一の正解というわけではなく、自社の状況に応じて進め方を選ぶことが重要です。
もう一つ、多くの企業が見落としがちなのが、データ活用の投資対効果(ROI)を定量的に把握する視点です。データ活用のメリットや事例は語られやすい一方で、「どれだけのコストをかけ、どのような指標で成果を測るか」というKPI設計まで踏み込んで検討している企業は多くありません。例えば「顧客対応時間の削減率」「商談化率の向上」「新規事業の候補案件数」など、目的に応じた指標をあらかじめ定めておくことで、データ活用の取り組みが成果につながっているかを継続的に評価し、次の投資判断に活かすことができます。
TechHouse.Worksの「Boot Up!」では、審査を経たうえで最大500万円のマイクロ出資と3か月間の伴走支援トライアルを組み合わせ、中堅企業がデータ活用を起点に新規事業へと踏み出す過程に伴走しています。社内のデータ活用を新規事業の構想にまで発展させたい、あるいは第三者の視点でROI設計や事業化の妥当性を検証したいという場合は、お気軽にご相談ください。なお、新規事業への挑戦や組織変革に関するより深い思想・原論については、noteでも発信しています。
データ活用を始める前のチェックリスト

データ活用に着手する前に、以下の項目を社内で確認しておくと、手戻りの少ないスタートが切れます。
- データ活用の目的とKPIを明文化し、関係者間で共有できているか
- 活用したいデータがどこに、どの形式で存在するかを棚卸しできているか
- データの品質(欠損・重複・定義のばらつき)に問題がないか確認したか
- 個人情報・機密情報について、利用目的の特定・通知/公表、アクセス権限の管理、第三者提供時の同意確認ルールを整理しているか
- 推進体制(担当者・部門・経営層の関与)が明確になっているか
- 社内で対応できない領域について、外部連携の必要性を検討したか
これらの項目に一つでも「未確認」がある場合は、着手前に整理しておくことで、後工程での手戻りやプロジェクトの停滞を防げます。
データ活用に関するよくある質問
Q1. データ活用とデータ分析はどう違うのですか?
データ分析は収集したデータを解析し、傾向やパターンを明らかにする作業そのものを指します。一方、データ活用はその分析結果を経営判断や業務改善、新規事業の検討といった具体的な行動に結びつけるところまでを含む、より広い概念です。分析結果が実際のアクションにつながって初めて「活用できている」といえます。
Q2. データ活用にはどのくらいの期間がかかりますか?
目的の設定からデータ収集・分析・アクションプランの策定までの一連の流れは、企業規模やデータの整備状況によって幅がありますが、目安として数ヶ月から半年程度を見込むケースが多いです。ただし基幹システムの刷新や複数部門のデータ統合を伴う場合は1年以上を要することもあり、効果検証と改善は一度きりで終わるものではなく、継続的なサイクルとして運用し続けることが重要です。
Q3. 中堅企業でも専任のデータサイエンティストが必要ですか?
必須ではありません。IPAの調査でも日本企業の85.1%がDX推進人材の不足(やや不足・大幅に不足の合計)を感じているとされる中、多くの中堅企業は既存社員の兼務でスタートし、必要な範囲を外部の専門家と連携する形で進めています。すべてを内製化しようとせず、社内で担う範囲と外部に頼る範囲を切り分けることが現実的な進め方です。
Q4. データ活用で最初に取り組むべきことは何ですか?
まずは目的とKPIを明確にすることです。目的が曖昧なままツール導入やデータ収集から着手すると、「データは集まったが何に使うか分からない」という状態に陥りがちです。次に、社内にどのようなデータが存在するかを棚卸しし、優先度の高い領域から着手することをおすすめします。
Q5. データ活用の効果はどのように測定すればよいですか?
「顧客対応時間の削減率」「商談化率の向上」「新規事業の候補案件数」など、目的に応じた具体的な指標(KPI)をあらかじめ設定しておくことが重要です。指標を定めずに進めると、取り組みが成果につながっているかを判断できず、次の投資判断にも活かせません。
Q6. 個人情報を含むデータを扱う際の注意点はありますか?
個人情報保護法をはじめとする関連法令の遵守が前提となります。利用目的の特定と通知・公表、アクセス権限の管理、第三者提供時の同意確認が最低限必要です。また外部ベンダーへのデータの取り扱いを任せる場合は、それが「第三者提供」なのか「委託」なのかによって求められる対応が異なるため、契約内容を確認しておく必要があります。加えて2022年の法改正により、漏えい等が生じ本人の権利利益を害するおそれがある場合は、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務化されています。法令解釈や具体的な運用ルールの設計については、社内判断だけで進めず、専門家に確認しながら進めることをおすすめします。
まとめ
データ活用は、単にツールを導入すれば完了するものではなく、目的の明確化からデータの収集・分析、アクションプランの実行、効果検証までを継続的に回していくプロセスです。中小企業庁の調査が示すように、多くの中堅企業はデジタル化そのものには着手済みである一方、データ分析やビジネスモデルの変革といった本格的なデータ活用の段階にはまだ至っていないのが実情です。だからこそ、目的とKPIを明確にし、自社のリソースに見合った範囲から段階的に進める姿勢が成果への近道になります。
特に新規事業への展開を見据える場合は、デジタル化→顧客接点データの統合→新規事業構想という順序を一つの有効な型として意識しつつ、データに裏付けられた仮説を積み上げていくことが重要です。社内だけで進めるのが難しい場合は、外部の知見を取り入れることも有効な選択肢です。TechHouse.Worksでは、Boot Up!の最大500万円のマイクロ出資と3か月間の伴走支援トライアルを起点に、Listing On!による継続的な支援へとつなげるスタートアップスタジオモデルを通じて、データ活用を起点とした新規事業の構想から実行までを支援しています。自社のデータ活用の次の一手について相談したい方は、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。組織変革や新規事業に関する思想的な背景にご関心のある方は、noteもあわせてご覧ください。